カテゴリー「腎・泌尿器系」の9件の記事

2007年4月25日 (水)

厚労省、病気腎移植禁止へ改正案を公表

●宇和島徳洲会病院を舞台に生じた病気腎移植問題だが、厚労省が病気腎移植の原則禁止を盛り込んだ臓器移植法運用指針の改定案を公表した。

リンク: 病気腎移植禁止、厚労省が改定指針案 : ニュース : 医療と介護 : YOMIURI ONLINE(読売新聞).

●生体移植全般については、提供者と患者の間で金銭の授受がないことを、移植施設の倫理委員会で確認すること、また家族からの移植の場合も運転免許証などの公的証明書で本人確認をすること、などが必要とされる。

●病気腎移植に関しては、関連4学会(日本移植学会、日本透析医学会、日本泌尿器科学会、日本臨床腎移植学会)が医学的妥当性がないという統一見解を出しています。

●厚労省の指針はこの統一見解を受けたものですが、一方で、腎臓を必要としている人々にとって、ドナー数が増えないなかで、大きな可能性と希望となる治療法であることも、たしかです。

●厚労省の指針案では、病気腎移植に医学的妥当性はないが、将来の臨床応用を視野に入れた研究については、国の臨床研究倫理指針に沿って移植施設の倫理委員会の審査を経た場合には、行える可能性を示しています。

●関係者からは、「病気腎移植の容認と受け取られかねない」と異論が出ているようです。病気腎移植を行った万波医師の「手順」が不当であったことはたしかですが、医療技術が日々進歩するなかで、新しい治療法の開発を、「正しい手順」で行うことを禁止するべきではないと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

2007年3月 5日 (月)

病気腎の「摘出」は「正当」と調査委員会が発表?

●宇和島徳洲会病院で行われた病気腎移植に関して、調査委員会が、同病院で行われた病気腎摘出の6件すべてに問題がないとする調査結果を発表した。

リンク: 病気腎調査委、徳洲会が万波医師を擁護 : ニュース : 医療と介護 : YOMIURI ONLINE(読売新聞).

●この結論は、すべての摘出や移植を不適切とした専門委員会の見解に反するものだった。

●調査委員会には、徳洲会病院の関係者が多く含まれており、記事によれば、「万波医師を何とかして守ろうとする姿勢が当初から見え隠れしていた」といいます。

●また、問題は病気の腎臓の“摘出と移植”であるにもかかわらず、「“摘出”は問題がない」と限定的な言い方をしているのが、気になります。

●日本での腎移植が十分に進んでいないなかで、病気の腎臓の移植を行うことの是非については、なお、十分に検討する必要があるとは思います。しかし、医学的な根拠に基づいて、その方法が適性であるかを検討しなければならないことは、いうまでもありません。

●今回の調査委員会の調査結果には、確かに疑問が残ります。ただし、一方の日本移植学会は学会として、病気の臓器を移植することを認めていませんが、認めない根拠が、本当に科学的エビデンスに基づいたものであるかどうかは不明です。認めない側も、病気の臓器を移植することを否定する十分な根拠を示さない限り、このような議論は延々と続くのではないかと思います。(残念なことに、病気の臓器を移植することを否定する根拠を示すことは、実際に移植を行ってみないとわからないかもしれません。)

以前の記事で触れたように、病気腎の摘出と移植を行った医師は、臨床家として、それなりの判断を行っていたのだと思います。しかし、いくら「すぐれた」判断といえども、現実世界では容認されないということは、医学の世界にかぎらず、往々にしてありうるものです。そして、その正当性を声高に述べれば述べるほど、事柄は当事者の意図せぬ方向に動くということもまた、往々にしてありうるものです。

●すでに事態は、医学的な問題を離れつつあるような印象があり、自分としては正直に言うと、あまりコメントをしたくありません。医学と、その技術を必要とする患者さんにとって、不幸な結果にならないことを望むしかありません。

| | コメント (0) | トラックバック (1)
|

2007年2月13日 (火)

フィリピンで腎臓売買が公認へ

●少し前のニュースですが、フィリピンで腎臓売買が公認されるようです。

リンク: 比が腎臓売買公認へ、「倫理」「安全」懸念の声 : ニュース : 医療と介護 : YOMIURI ONLINE(読売新聞).

●フィリピン政府は、国内の貧困と闇売買の横行を背景に、腎臓売買を実質的に公認することになりそう。ドナーが闇取引で腎臓を買い叩かれたうえ、十分なケアが受けられない状況を防ぐのがねらい。

●日本などから、多くの患者が向かうのではないかと予想されている。なお、日本の臓器移植法では、海外で臓器を購入した日本人も、処罰の対象になる(5年以下の懲役または500万円以下の罰金)。しかし、フィリピンの新しい制度では、外国人患者が直接ドナーに支払わないので「売買」ではないとされる。

●売りたいというニードと買いたいというニードがあるかぎり、そこに市場ができるのは、資本主義社会では当然のことです。善意による臓器提供しか、臓器提供ではないという論理は、心情としては納得できても、現実には即していないといえるのかもしれません。

●いずれにしても難しい問題です。フィリピンや日本など、この制度にかかわりそうな国と人々が集まって、よい方向に議論が進むように努力するしかありません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

2006年12月11日 (月)

アスピリンで前立腺肥大が予防できる

●アスピリンなどのNSAIDs薬で、前立腺肥大が予防できるかもしれない。

リンク: BBC NEWS | Health | Aspirin 'blocks prostate problem'

●NSAIDs(エヌセイズ、非ステロイド性抗炎症薬)は、一般的に「痛み止め」と呼ばれる薬であり、痛み止めとしての作用のほかにも、心臓疾患の予防や関節炎の緩和など、さまざまな効能があることが知られている。

●このNSAIDsを服用することで、高齢男性によくみられる前立腺肥大を予防したり、その発症を遅らせることができると、米国の研究者が発表した。

●前立腺肥大は、70歳以上の男性の50%でみられるともいわれる疾患で、尿の出が悪くなるなどの症状が現われる。なお、以前の研究では、NSAIDsによって前立腺がんのリスクが低下することが明らかになっていた。

●NSAIDsが前立腺肥大のリスクを減少させる機序は、よくわかっていないというが、前立腺の肥大を直接的に抑える作用があるか、または組織中の細胞死を増加させる作用があるかの、どちらかであろうと、研究者は考えている。

●NSAIDsにはさまざまな効能があるが、胃潰瘍を起こしたり血液の凝固システムに影響を及ぼしたりという、重篤な副作用もある。研究者は、すべての人にアスピリンなどのNSAIDsを勧められるわけではないが、何か他の理由からアスピリンを摂取している場合には、上記の作用があることを認識してほしいと述べています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

2006年11月13日 (月)

幹細胞移植と糖尿病治癒の可能性

●幹細胞を利用して、糖尿病が治療できる可能性が高まった。

リンク: BBC NEWS | Health | Stem cell cure hope for diabetes

●脊髄にある幹細胞は、身体のどんな部分にも変わる可能性がある「万能細胞」で、医療的に利用する大きな可能性があるといわれていることはご承知のとおり。

●このほど米国の研究者が、腎臓にダメージがあり高血糖のマウス(つまり糖尿病のマウス)にヒトの幹細胞を移植した。結果は、移植していなかったマウスと比べて、3週間後には高レベルのインスリンが産生されていたうえ、腎臓の糸球体の機能の改善もみられたという。

●研究者は、「腎機能が改善したのは血糖値が下がったからなのか、あるいはヒトの幹細胞が腎臓を修復したからかはわからない。しかし、幹細胞が膵臓におけるインスリン生産機能を修復するのと同様に、腎機能も改善したのではないかと推測している」と語っている。

●研究者は、糖尿病患者を対象とした治験を行うことで、この機序が明らかになるだろうと述べています。幹細胞の利用に関してはさまざまな議論がありますが、さまざまな疾患を抱えている患者にとって、大きな希望であることは間違いありません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

2006年11月 4日 (土)

病気の腎臓を摘出、そして移植?

●生体腎移植に関する臓器売買が明らかになった宇和島徳洲会病院で、病気のために摘出した腎臓を、別の患者に移植したケースが11件あったことが明らかに。

リンク: Yahoo!ニュース - 読売新聞 - 病気で摘出の腎臓移植…宇和島徳洲会病院で11件.

●詳しいことはわかりませんが、他の腎移植医によると、病気の腎臓を移植することは「医学的に」はありえないそうです。この病院では、腫瘍のある腎臓を摘出、腫瘍を除去したのち、別の人にその腎臓を移植するなどのケースがあったそうですが、たしかに、腎臓は摘出の必要があったから摘出したわけで、よくわからないことになっています。

●医師と提供者、患者の間で何らかの話し合い、合意があってのことと推察され、一概に批判すべきことかどうかもわかりません。しかし、少なくとも、1件の不正な移植をやすやすと見逃しているという瑕疵があるかぎり、疑いの目をもってみられても仕方がありません。さてその真相は?

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

2006年10月13日 (金)

不審な腎移植が多発していた?

●読売新聞の調査によると、腎移植を行った病院の2割に、提供者に不審な点がみられた。

リンク: 腎移植、病院の2割が提供者に疑問…読売調査.

●回答施設の2割以上が、親族でない人からの提供打診や金銭授受の可能性、心理的圧力といったケースがあり、移植をしなかった経験があると回答している。

●また、4割の施設はこれらを防止する策を講じているが、ほとんど対策をしていない施設も4割にのぼった。調査は腎移植を過去に行った施設で、現在も実施可能な施設の8割以上に行われている。そのうち2割に怪しいケースがみられたというのは、不正な臓器移植(臓器売買)の広がりが予想以上であるといってもいいだろう。

●記事では、非親族からの移植の打診には、会社の上司や社長の妻が部下から提供を受けるというものであったり、ヤミ金融関係者など金銭が絡むケース、偽装結婚、偽装親族もあったという。悪質です。

●この状況を受けて、厚生労働省が生体移植に関する指針を策定する。

リンク: 生体移植に指針 厚労省、年内めど策定.

●臓器移植法の運用指針に、生体移植の規定を加える形になる模様。本人確認の徹底や、施設内の承認制度などが明示されることになると思われますが、もはや事態(実態)は学会レベルでは対処しきれないというところにきています。法律が整備されたほうが、現場の医療者も安心してサービスを提供できることは、間違いありません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

2006年10月 2日 (月)

臓器売買事件と海外移植

●愛媛県宇和島市で、生体腎移植をめぐる臓器売買事件が起こった。

リンク: 腎臓移植事件 ドナー確認「保険証だけ」 : ニュース : 医療と介護 : YOMIURI ONLINE(読売新聞).

●この記事では、執刀医が日本移植学会に所属していなかったことが明らかになったとしている。

●もっとも日本移植学会の倫理指針でも、臓器提供者の本人確認や親族関係の確認の具体的な方法は定められていない。こういった問題はすべて、病院側の判断に委ねられているのが現実なのだという。

●日本の移植希望者が、腎臓の移植を受けに中国やフィリピンに行く人が多いことはよく知られている。中国を含む東南アジアでは臓器売買が行われているらしく、中国では売買を禁止する法律ができたという。

●こういう近隣国の状況は、日本の臓器移植とリンクしている。だからこそ、同じような事例は、日本国内でもたびたび生じていたのではないかと疑わせる今回の事件である。

●もちろん、ドナーが増えないことが問題であり、また、移植を必要とする多くの人の気持ちを理解する必要があります。

●執刀医が学会に所属していなかったことが問題になるかどうかはともかく、日本はそれほど「美しい国」ではありません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

2006年4月12日 (水)

結石治療が高血圧・糖尿病の原因に

●腎結石の衝撃波砕石術で、高血圧と糖尿病のリスクが高まる。

リンク: Shocking kidney stones may raise diabetes risk.

●腎結石を体外から超音波を当てて破砕する衝撃波砕石術(SWL)で、高血圧と糖尿病のリスクが高まると、米国の研究者が発表。

●1985年にSWLで治療した578人の腎結石患者を、2004年に追跡調査した。SWLで治療した腎結石患者は、対照群に比べて、高血圧となるリスクは47%高くなった。

●また、17%の患者が糖尿病を発症していたが、これは3倍以上の高リスクだった。糖尿病のリスクは、治療における衝撃波の数と治療の強度に関連していた。

●この原因を研究者は次のように推定している。高血圧については、治療によって腎臓が傷つき、血圧を維持するホルモンの分泌に影響が与えている可能性がある。糖尿病については、治療がインスリンを分泌する膵臓に傷害を与えている可能性がある。

●研究者は、それでもSWLは、現在では有効な治療であり、その他の治療にもそれぞれリスクがあると述べています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|